金田一春彦さんの『美しい日本語』を読みました。
金田一春彦さんは日本の言語学者で、父は文学博士の金田一京助さん、ご子息に言語学者の金田一秀穂さんがいらっしゃるそうです。
文庫本の裏表紙によると、この本は、他者との関係性や自然を大切にしてきた日本人の文化を映し込んだ日本語を解説された本、ということになるようです。
内容は、学術論文のような難しいものではなく、たとえ話や著者の過去の体験談等を盛り込みつつ、日本語の表現についてのあれやこれやとわかりやすく解説されたものとなっておりました。
まずひとつ面白いと思ったことは、最上級の敬語を使ったとしても、それが日本語によるコミュニケーションにおいて正解なのかということを考えされられたということでした。
本書では、招かれたお宅で醤油を取ってもらうときを例に挙げて解説されておりました。
「醤油を取ってください」というニュアンスでは、目上の人に命令する形になってしまい失礼かもしれない。
そこで、「それはお醤油ですか」と尋ねることで、失礼にならないよう配慮するのだそうです。(ちなみに、聞かれた相手が、こちらが醤油を欲していると気づけば取ってもらえるが、そうでなければあきらめるしかない、とも書かれておりました(笑))。
次に、私がハッと気づかされたと思わされたことは、「相手に恩着せがましい言いかたは避ける」ための言葉を使うということでした。
本書では例として、自分がお茶を淹れたのに、あたかも自分でお湯から煎じられたかのように「お茶が入りました」と言い、また、自分が準備しても、あたかも自然に温度上昇したかの如く「お風呂が沸きました」と表現すると書かれていました。
ちなみに、厳密にいうと、これまた別のセクションで解説がありましたが、沸いたのはお風呂の浴槽に張ったお湯であってお風呂そのものではない、これも日本語のあいまいな表現の一つだそうです。我々も知らず知らずのうちに、共通の事実は省略して話す傾向があるそうで、「夏目漱石が好き」と記述しても、基本的には、夏目漱石の小説が好きだというニュアンスでコミュニケーションが成立する、という傾向があるそうです。
などなど、このほかにも、日本語が諸外国語と比べて表現に乏しいもの、逆に多くの表現があるものについてや、自然と日本人、日本語との関係から見えてくるものについてなど、私は最初から最後まで感心したり笑ったり泣いたり勉強させていただいた感じがしました。
また、全編にわたって著者の穏やかそうな人柄が表れているような優しい文体が、読んでいて私の心をも穏やかにさせてくれました。
また暇なときに読みたいと思うとともに、これに書かれていた日本語に注意して言葉を使っていきたいと思いました。
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